大阪カジノの開設に反対する本会は、問題山積みの大阪カジノの誘致作業を傍観視することはできないと考え、10月25日、大阪府知事に別紙の要望書を提出しました。そして12月4日、7名の会員が大阪府咲洲庁舎を訪問し、要望書に対する書面回答を受け、その場で、疑問点等を問いただしました。以下に、その疑問点を示し、今後さらなる説明を求める運動を継続していきます。
質問項目(1)夢洲の土壌・地盤安全性、汚染安全性、自然災害安全性について
- 地盤強度について、特に沖積層強度の確認をしたところ、市港湾局に聞いて欲しいとのこと。護岸強度のN値を尋ねたところ、答えられず。
- 今回の万博応募に際して、集客施設として絶対に必要な安全性(対自然災害、対汚染物質)のアセス結果をBIE(万博協会、パリ)に報告したのかとの質問に関しては、答えられず。
- 9月4日の台風21号の被害状況をどう評価するかと尋ねたところ、浸水は無かったとのみ回答。護岸盛り土の流出等に関しては、回答せず。
質問項目(2)度重なる開発計画・用途変更と、開発期間変更について
- 変更のたびごとに当該目的のための有識者委員会を構成して、その議を経ているという体裁をとっているが、先に決定されている事業との整合性、継続性、変更に伴う行政手続き(議会承認等)は不明。
- 開発期間の大幅短縮(6分の1)に伴う、工期短縮のための圧密沈下の技術評価と費用算定を尋ねたところ、答えられず。
- 埋め立て廃材の受入チェックについては現在調査中。全数チェックなのかどうか不明。
- 埋め立て、ゴミ処理は平成37年度まで行う。特に万博用地(第2区)の開催期間中の利用はどうするのか不明。
- 用途変更(IR建設)を含む新規港湾計画とアセスメント(水質検査を含む)は現在、調査策定中。開発実施スケジュールも不明。
- IR地域認定申請のためには地域住民、議会の承認が必要であるが、どの時点でその手続きを行うのか不明である。事業者決定、整備計画策定の前に行われるべきと考えるが、この点、極めて曖昧で、なし崩しを狙っているようにしか思われない。
- 埋め立て、地盤改良、汚染対策、インフラ基盤整備にかかる経費算定が明示されず、その負担割合も不明のままである。土地商業化に伴う、地価算定ならびに想定売却益も明らかでない。つまり、行政は事業経費をどのように弁済していくつもりなのか明かにしていない。
質問項目(3)カジノ収益と経済効果について
- IRの経済波及効果6900億円と回答されているが、その算定根拠は明らかにされていない。またカジノ収益がどれくらいかが不明である。カジノ先進国(オーストラリヤ、韓国等)では、カジノ収益の2倍〜7倍の様々な社会負担コストが報告されており、税収を上げたところで、住民福祉には何ら貢献しないことが判明している。この点を行政はどう考えているか、説明すべきである。
- カジノ事業には様々な社会コストが付随する。特に依存症対策、犯罪防止対策、青少年対策、周辺産業への機会損失効果、健全雇用促進・健全労働意欲へのダメージ効果、さらには人命、家庭崩壊などの非金銭的コストなど、カジノ収益の数倍もの社会的コストが報告されており、行政は民間経済活動に伴う、このような社会コストをこそ慎重に考慮する責任があるが、これらのコスト算定は全くなされていない。行政が民間の危険な経済活動の後押しをするなどもっての他である。
以上、この説明会で明らかになったように、カジノを含むIRの夢洲への誘致計画は、担当部局間の連携不足、全体計画の不整合、安全性・危険性を無視した乱暴な見切り発車です。今までの大阪府・大阪市の巨大開発の失敗が無反省に繰り返されていることが判明しました。本会は今後も、府市IR推進局に対し、カジノを含むIR誘致計画に対する市民の疑問に、誠実に答えることを求めていく計画です。
【夢洲見学】
この集会の終了後、一行は車に乗り、夢舞トンネルを通ってカジノ誘致予定地の夢洲に行きました。夢洲は、現在、一部地域で大深度岸壁が作られ、大型のガントリークレーンも設けられ、コンテナターミナルとして活用されています。夢洲内の道路は、大半がコンテナを積んだ多数の大型トラックが大渋滞(順番待ち)していました。
万博やカジノを誘致するため、夢洲の埋め立てや基盤整備工事を急げば、現在、夢洲で開業しているコンテナターミナルもマヒしてしまうことが見て取れました。