「大阪カジノに反対する市民の会」代表・西澤信善
私がギャンブル問題にはじめて関心をもったのは2010年代の初めの頃でした。丁度その頃、橋下大阪府知事（当時）が沈滞する関西経済をカジノで活性化する構想を打ち上げていました。直感的に「これは危険ではないか」という思いが頭をよぎりました。それから本格的にギャンブル問題を調べるようになりました。厚生労働省は2014年、依存症患者の数を536万人と発表していました。536万人とは大量現象で、これは大変な社会問題と認識しました。実際、調べてみるとギャンブルはさまざまな弊害を引き起こしていることが分かりました。カジノ推進論者はそれらを上回る経済効果があるといいます。しかし、カジノ業者の巨額の売り上げは「巻き上げた金」のことですから、そんなものは経済効果とはみなせません。調べていくうちに分かってきたことですが、ギャンブルの本当の怖いところは「金を巻き上げられ、貧窮化すること」と認識するようになりました。
ギャンブルの本質はその時々の運で金銭を争うものです。うまく説明できませんが、ギャンブルは胴元が勝つようになっています。これは経験則です。賭けで負けると何とか取り戻そうと深みに嵌ってしまいます。たまに勝てばその快感が忘れられずに繰り返しやるようになります。要するに勝っても負けてもギャンブルの魔界に引きずり込まれてしまうのです。すべての人がそうだというわけではありませんが、ある一定の割合でそういう人がいるのです。ギャンブルでは金を巻き上げられ貧窮化します。これが人をおかしくし、苦しめるのです。人がギャンブルの深みに嵌るといくらお金があっても足りません。お決まりのコースは借金です。借金がかさむとその重圧に耐えきれずうつ病を発症させている人も珍しくはありません。ギャンブルする金の欲しさに犯罪に走るケースも多々あります（警察庁発表）。最悪の場合は、自殺に至ります。ギャンブルの世界は、その行き着く先が、病院か、刑務所か、棺桶かという世界です。
2018年の夏は、地震、豪雨、猛暑そして巨大台風といった「自然災害」に苦しめられました。これらの災害によって甚大な被害を出しました。私はギャンブルが引き起こす様々な弊害すなわち窮乏化、借金、多重債務、家庭崩壊、依存症、犯罪、自殺などを「社会災害」とみなすべきと提唱しています。「自然災害」であれ「社会災害」であれ、自治体の本来の使命は災害がもたらす被害を最小化あるいはなくすことです。いま自治体としての大阪府や市は「統合型リゾート」の名の下でカジノ誘致の準備を着々と進めています。しかも万博とセットにして推進していますから、不評のカジノは「統合型リゾート」と万博の陰に隠れてしまっています。カジノを誘致するということは、自治体が災害をばらまくようなものです。これが自治体の本来の使命に反することは明らかです。カジノを誘致して経済の活性化を図るなど、空疎な絵空事に過ぎません。何としてでもカジノ誘致はストップしなければなりません。私たちはその思いで「大阪カジノに反対する市民の会」を立ち上げました。何卒、皆様方のご支援を賜りますよう切にお願い申し上げます。